黄玹 絶命詩第三 ●●○○●●◎ 鳥獸哀鳴海岳嚬 鳥獸哀鳴し海岳嚬き ●○●●●○◎ 槿花世界已沈淪 槿花世界已に沈淪す ○○●●○○● 秋燈掩卷懷千古 秋燈に巻を掩(めく)りて千古を懐へば ○●○○●●◎ 難作人間識字人 人間 識字の人にはなりがたし 【句形】 七言絶句、平起こり、上平11真(嚬、淪、人) 【語釈】 黄玹(1855-1910)…朝鮮末期の文学者。本貫は長水。日本の侵略に抵抗して自決し、絶命詩という一連の漢詩を残した。 槿花…朝鮮の国花 【大意】 鳥や獣がかなしく鳴き、海も山も病んだようにせきこんでいる。 この槿の国も退廃が著しい。 秋の灯に本をめくって遥か昔のことを思えば、この世で、真に道理の分かった人間にはなかなかなれないことだけを知る。 |