月色・月夜偶題

月色 金時習

○○●●●○◎
長空月色正嬋娟
○○●○○●◎
欹枕夜凉人未眠
○●●○○●●
何處斷腸江上笛
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一聲吹破碧雲天

【句形】
七言絶句、仄起こり、下平1先(娟、眠、天)。

【訓読】
長空の月色 正に嬋娟
欹枕に夜凉しく人未だ眠らず
いづくにか断腸したる江上の笛
一声吹き破る碧雲の天

【大意】
月漂う蒼深き空、川の流れの上、涼しげな夜に人は眠れもしない夜、切なく笛の声が鳴り響く。

月夜偶題

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滿庭秋月白森森
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人靜孤燈夜已深
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風淡霜淸不成夢
●○○●●○◎
紙窓簾影動禪心

【句形】
七言絶句、平起こり、下平12侵(森、深、心)

【訓読】
滿庭秋月白森森たり
人静かに 孤灯夜すでに深し
風淡く霜清く夢ならず
紙窓の簾影禅心を動かす

【大意】
庭に満ちる秋の月はうっすらと白い。
人は静まり返って、夜の闇に明かりがひとつ仄かにともるばかり。
風は弱く霜は汚れなく、夢には迷いそうにない。
障子の窓に映る簾の光が、仏道への志を刺激する。


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