石竹花

鄭襲明 石竹花

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世愛牡丹紅 世は牡丹の紅を愛し
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栽培滿院中 栽培して院中にみつ
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誰知荒草野 誰か知らん荒草の野
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亦有好花叢 また好き花のむれあるを
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色透村塘月 色は村塘の月に透け
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香傳隴樹風 香りは隴樹の風に伝はる
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地偏公子少 地は公子に少なきに偏り
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嬌態屬田翁 嬌態 田翁に属す

【句形】
五言律詩、平起こり、上平1東(紅、中、叢、風、翁)

【語釈】
鄭襲明(?-1151)…高麗の文臣。本貫は迎日。妙清の反乱を鎮圧した。大禹謨の注解を行った。


【大意】
世間では赤い牡丹の花が好まれ、庭園の中まで栽培されている。
誰も荒野の中に、また別の良い花があることを知ろうともしないで。
牡丹の姿は村の井戸の中の月にまで映り、香りは丘の上の風にも及ぶ。
大地には若君の顔はまばらで、ただ老人ばかりが花の色気に心を奪われている。



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