李珥 花石亭 ○○○●● 林亭秋已晩 林亭秋已に晩く ○●●○◎ 騒客意無窮 騒客 意窮りなし ●●○○● 遠水連天碧 遠水天の碧に連なり ○○●●◎ 霜楓向日紅 霜楓 日に向かひて紅 ○●○○● 山吐孤輪月 山は孤輪の月を吐き ○○●●◎ 江含萬里風 江は万里の風を含む ●○○●● 塞鴻何處去 塞鴻いづくにか去る ○●●○◎ 聲斷暮雲中 声は暮雲の中に断つ 【句形】 五言律詩、平起こり、上平1東(窮、紅、叢、風、中) 【語釈】 李珥(1536-1585)…李朝中期の朱子学者。号は粟谷。李滉と共に朱子学派の双璧をなす。彼はこの詩を八歳で作った。 花石亭…京畿道坡州に存在する建物。 【大意】 森の中のあずま屋は秋すでに遅く、ざわめきあう客人の詩情はとめどなく沸き起こる。川の流れは遠く空の青にまでつながっていき、霜のついたフウの木は太陽の光で赤い。 山は一つのわびしい月を吐き出して、川には遠くからやって来た風がしみこむ。 辺境のガチョウはどこに行くのか。鳴き声が夕暮れの雲へと消えていく。 |